女の子なら誰もが憧れる助手席。

まぁそれは、

片思いの相手とか大好きな彼が運転してる場合だけだけど。





こないだの『恋のから騒ぎ』でもやってたけど、

女の勘ってするどいもので、

自分の男が誰か別の女を助手席に乗せたかどうか、

女にはすぐに分かるものである。





女にはすぐバレるという事が分かるからこそ、

私は、彼女持ちや妻子持ちの男の車の助手席に乗る時、

かなり気を遣ったものだった。

自分が彼女持ちや妻子持ちと付き合ってた時はいつも、

家まで送ってもらった後、

シートのリクライニングを真っ直ぐに戻し、

必要以上に座席を前の方にスライドしていた。





「これなら、掃除してたとか荷物をおろす時にシートを前に出したって言って、いつでも誤魔化せるし、シラを切りとおせるでしょう？」





男と自分の関係が、間違いなく何もない間柄の時でも、

その男に彼女がいれば、必ずそうしてた。



極力、香水はつけないようにしてたし、

吸殻にも口紅の後がつかないようにしてた。

万が一口紅がついてしまった時には、

男に吸殻の処理をしておくよう、忠告も忘れなかった。





立てないで済む波風なら、立てない方がいいに決まってる。





　◇





私がこうやって最善を尽くすようになったのは、自分の失敗が原因。

今から７年強前、妻子持ちと付き合ってた頃、

香水の匂いをシートベルトに残してしまい、エラい騒ぎになったからだ。

奥さんに私の身元がバレたわけじゃないけどさ。

なんかもう、一種のトラウマですわ。





◇





まぁ今はダンナいるし、自分もダンナも車持ってないし、

車を持ってる男の助手席に座る事もないしで、

今は関係ない話だけどなぁ。